この庭について
宇野常寛『庭の話』が示した「庭」の三つの条件を、インターネットの上で実際に動かしてみる試みです。
- 人間ではないものと出会う場所であること。ここの主役は人ではなく、外から流れ込む事物です。世界のどこかで誰かが出会った生き物(iNaturalist)、博物館の器や標本(ジャパンサーチ・クリーブランド美術館・GBIF)、古い本の一節(青空文庫)、鳥や虫の声(xeno-canto)。
- 事物どうしが勝手に関わり合い、外に開かれていること。媒介者(ルリシジミ、ミミズク、ヒヨドリ、モジムシ、ヨルガ、ヤマビコ、アメノコ)が、色や古さや文字や声を運びます。東京の実際の天気で雨が降り、世界で実際に起きた地震で土が揺れます。毎朝、外から新しい事物が流れ込みます。
- 関わることはできるが、支配はできないこと。種をまく、媒介者に預ける、留まって世話をする、相棒に食べさせる。どれも結果は思いどおりになりません。すぐには反映されず、1時間ごとの手入れのときに庭に入ります。
媒介者図鑑
庭の中で事物を運んでいる生き物たちの規則です。隠れた仕組みをつくらないため、すべてここに書いておきます。歩く画面では、動いている時間だけ、その眼や耳を借りられます。
相棒も、媒介者の一種です。色・年代・好きな字・種類・明るさの好みをもち、毎日7時に家を出て、いちばん惹かれたものをひとつ持ち帰ります。食べさせたものは蓑に綴られ、好みは少しだけそちらへ寄ります。
ここにないもの
- いいね、フォロー、コメント、順位、閲覧数
- 誰が何をしたかの表示(残るのは、誰かが留まった跡と、誰かが預けたものの痕跡だけ)
- 全体の地図(自分のまわりしか見えない。雨や霧の日はもっと狭い)
庭師について
この庭には庭師(運営者)がいます。隠れた上位のルールをつくらないため、庭師がすることをここに書いておきます。
- 住人が埋めた写真・言葉・つくったもの、媒介者に預けた言葉は、庭師が確かめるまで「土の中」で待ちます。
- 人を特定できるもの、誰かを傷つけるもの、他人の権利を侵すもの、宣伝は芽吹かせません。そのときは「芽吹かなかった」とだけ本人に伝わります。
- 庭師は、事物の並びや、誰の相棒が何を持ち帰るかを操作しません。
- 庭は1時間ごとに手入れされます(天気と地震の反映、住人の関与の反映)。毎朝5時ごろには、外からの事物の取り込みと壁紙づくりもします。
夕方の便りについて
- 希望した人にだけ、相棒が旅から戻ったとき(19時ごろ)に1日1回まで通知します。主語は相棒だけで、人の動き(誰かが何かをした)は知らせません。
写真と言葉の扱い
- 埋めた写真は、端末の中で縮小し直してから送るので、位置情報などは残りません。写り込んだ人の顔はぼかします。
- 外で見つけて相棒に食べさせた写真は、庭には出ません。小さく縮めて、その人の相棒の蓑にだけ綴られます。
- 誰が埋めたかは、事物には記録しません。埋めた本人にだけ、ときどき「庭からの便り」で様子が届きます。
- 住人の名前やメールアドレスは聞きません。相棒の名前だけです。
出典
事物ごとに出典と利用条件(CC0・CC BY など)を表示しています。声の録音は録音者ごとの利用条件に従い、非商用で使っています。天気は Open-Meteo、地震は USGS。